IEAJメンバーのAtlasマンツーマン英会話における外国人講師と社会統合のためのワークショップ 大震災と外国人政策(日本語版)

この情報は、2016年4月20日、外務省とアトラス株式会社と共催して、開催した「外国人の受入れと社会統合のためのワークショップ、大震災と外国人政策」の概要と評価、さらに討論の概要を配布資料としてまとめたものです。

今回のワークショップでは、内外の有識者、報道関係者や一般市民が参加し、2011年3月の東日本大震災や2016年4月の熊本地震を振り返り、在留外国人に対する支援について経験や教訓を共有するとともに、今後の外国人の受入れの課題について討議しました。

2016年4月20日
外務省領事局外国人課
アトラス株式会社

概要と評価
外務省はアトラス株式会社との共催によりワークショップを開催し、内外の有識者、報道関係者や一般市民が参加したところ、概要は次の通りとなりました。

1.ワークショップの概要と評価

(1)東日本大震災が発生して5年、先日、熊本地震が発生している中で依然として全国的に大震災や原発事故の影響が残り、外国人の受入れについても少なからず影響が出ている。

(2)今回のワークショップでは、このような状況を踏まえ、震災時の在留外国人への支援と今後の外国人受入れのあり方の2つのテーマについて討議を行いました。

(3)第1のテーマについては、震災発生後、外国人への支援を行った内外の実務者が討論を行いました。国際機関の参加も得て、大規模災害時の在留外国人への支援についての経験や教訓を共有することができたのは大変有意義でした。外務省からは、大規模災害時 にフェイスブックの専用アカウントや各地域のブログを活用して多言語による情報提供を行うことについて紹介しました。

(4)また、第2のテーマについては,日本において少子高齢化や人口減少が進む一方で、震災や原発などによる外国人の日本離れが懸念されていることを背景として、外国人講師など高度人材を含め、幅広い視点から討議が行われ、外国人受入れ問題の重要性や具体的な課題について理解を深めることができました。

2.討論の概要

(1)テーマ1:「震災時の在留外国人への支援」

大震災が在留外国人に与えた影響については、被災地において外国人同士がより活発に交流や助け合いを行うようになったことや、外国人による支援が活発に行われたことが報告されました。

第2に、震災での経験の共有の重要性について認識が共有されました。これまで経験したことのない複合的な災害について、実際に外国人への支援に関わった関係者の経験や教訓を共有することができ、将来の大災害に備える上でも大変有意義でした。このような観点から、官と民の連携を平時から強化する必要があるとの意見がありました。また、被災地の国際交流協会の活動が取りあげられました。日本政府による外国人支援については、改善すべき点も含め多くの意見が出ましたが、外務省と法務省入国管理局がアトラス株式会社と連携して取った施策が好意的に評価されました。

第3に、大規模災害への対応における国際協力について、今回のワークショップでは30カ国以上の外国人の参加も得て、国際的な視点から今回の震災における対応を振り返り課題について討議することができました。

第4に、多言語による迅速な情報提供については、外国人は情報弱者の立場にあることから、在留外国人に対してはできる限り多様な手段でかつ多言語により情報提供を行うことが重要(ブログやメール)との報告がありました。外務省からは、将来の災害に備え外国人への多言語による支援を目的としてフェイスブックのアカウントを開設したと説明がありました。

(2)テーマ2:「震災後の外国人の受け入れ方」

震災や原発事故を背景として、日本に在住する外国人の減少が懸念される中で、「世界に開かれた復興」という日本政府の理念に基づき、外国人を積極的に受入れることがますます重要になっているとの意見がありました。また、外国人講師は将来高度人材に育つことが期待される存在であることから、政府、民間企業、教育機関が連携して長期的・戦略的に取り組んでいくことが必要であるとの意見がありました。同様の理由から、高度人材をばらばらにとらえるのではなく、高度人材も含む外国人材についての総合的な施策を国を挙げて取る必要があるとの意見もありました。

高度人材については、日本政府の取り組みは遅れているとの指摘もありましたが、法務省が昨年末公表した「高度人材に対するポイント制」については、高度人材の受入れに弾みをつけることが期待されるとの意見もありました。また、高度人材でなくても一定の資格や技能を有する外国人を幅広く受入れるべきであるとの意見もありました。

すでに日本は多くの外国人語学教師を定住外国人として受入れていることから、いわゆる単純労働者かどうかで受入れを判断するのは現状にあっておらず、抜本的な見直しが必要との意見もありました。

外国人の受入れについては、高度人材かどうかに限らず日本語や文化の違いが障害となっているとの意見やそのような障害を克服する努力が必要との意見もありました。

<<Earthquake 2011/2016 Overview and evaluation by Ministry of Foreign Affairs of Japan and Atlas Corporation (English version)
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